郵便配達は二度ベルを鳴らす。

PostmanAlwaysRingsTwice繰り返し映画化されているので、よく知られた小説。

普段小説を読むことはほとんどないが、最近出た新訳ということと扇情的なブックカバー、それに何より490円という安さにひかれ、つい手に取ってみた。

ビスコンティが撮ったモノクロ作品は、繰り返し見ているお気に入りイタリア映画の一つだが、ジャック・ニコルソン主演のものはセックスシーンが生々しすぎてみる気になれなかった。

よって「郵便配達」についての先入観は、ほとんどビスコンティの古い作品によるものであった。

この旧作では、風来坊の主人公と食堂の人妻が出会う瞬間が、ぞっとするような感覚で迫ってきたものだ。
俳優の表情、カメラワークや音楽などがあいまって、一瞬にして恋に落ちる男と女の「瞬間の真実」のようなものを理屈ではなく解らせてくれる。
しかしこの映画は、最初の食堂主人殺しをめぐるストーリーが中心なので、「二度」の意味はまったく不明だった。

今回改めて小説を読んでみると、作中に「郵便配達」こそ登場しないものの、「二度」というモチーフはよく効いている。
最初の殺人と二度目の殺人、二度発生する交通事故、重要なシーンで二度登場する印象的なネコ(二回目は大きなネコ・ピューマだが)…。
原題にあるTwiceの意味が、何となく腑に落ちた次第。

それにしても「ネーミングの妙」というのは確かにあるのだと思う。

<The Postman Always Rings Twice, 郵便配達はいつだって二度ベルを鳴らす>などと言われれば、監督ならつい映画にしてみたくなるのだろうし、何回も映画を見せられたうえで、小説も読んでみたくなるというものだ。

若干、いや大いに感服!

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