桜花賞のオカルト予想、ダンテ「神曲」から。

競馬(馬券)をやり始めてから何年になるだろう。

独身で都内勤めのころは原木中山に住み、結婚後は東府中に住んでいたことがある。
そのせいか(というよりもともとそれが目的で移り住んだのだが)、日曜になるとよく競馬場に出かけ馬券を楽しんでいた。
長女や次女がよちよち歩きの時は、替えおむつを入れたリュックを背負った2人を連れて、散歩がてら府中によく行ったものだ。
子供たちは府中の内馬場で遊びまわり、道楽オヤジはビールを飲みながら馬券を買うのだが、競馬場で必ず娘たちはウンチをする。そんなとき、おむつを替えながら「またこれで運が落ちる」などと、馬券が当たらない理由にしていたりして…。

その頃は本気で予想をしていた。

月曜から金曜までは午前中にスポーツ新聞を読み、夕方には東スポか夕刊フジで調教状態を確認。出走枠が確定する金曜日と土曜の夜には「競馬エイト」などの専門誌をじっくり検討し赤線を引く。そして最終的には、パドックで馬の気配を読み最終的な結論を得て勇躍窓口に並ぶ。
事前の予想をパドックでの直感とやらで変更し、小躍りしたことも悔やんだこともある。

そのころ感じていたことは、①競馬をやるオヤジはみな「微笑ましい競馬オタク」だということと、②直感は過たない、間違うのは判断である、という2つのことだ。

馬券売り場に行くと、精魂込めて作成した自家製の競馬ノートを真剣に再検討している人や、得体のしれない予想メモのようなものを見つめている人、携帯予想マシンらしきものにデータを打ち込んでいる人など、たくさんの「競馬オタク」がいた。おそらくじぶんもその一人だったのだろう。
この情熱を仕事にかければ、おそらくみな今よりましな暮らしや社会的ステータスを築いたに違いないのに。
しかし多くのオヤジ達は、そうはせずにみな競馬に没頭していた。
セレブとかステータスなどはどこ吹く風、といったところだ。
実に微笑ましいことではないか。まさに「たかが競馬、されど競馬」なのだ。

「直感は過たない」ということは、五味康介さんが言っていたことだと記憶しているが(?)、何度も経験したうえでたどり着いた自分なりの競馬観である。
考え抜いた末にひねり出した結論がうまくいったことはほとんどない。
出馬表や馬の名前を見た瞬間、あるいは向こうから突然飛び込んできて頭の中から離れない数字や意味のないフレーズなど、それを記憶しておくとうまくいくことが多い。
そんな時は、レースのスタート前から「ワクワク感」が体の中に充満しているものだ。
ただ一つ言えることは、本気でやっていた何年間は、その「ワクワク感」を感じる頻度が馬券を適当に楽しんでいる今より多かったということだ。

今では自宅のパソコンで小遣い程度のお金を日曜のメインレースに適当に掛けるという、不真面目な競馬ファンになったのだが、G1クラシックレースとなるとそうもいかない。

というわけで、前置きが長くなったが明日の「桜花賞」の予想。

ハーブスター1強と巷間言われているが、これに逆らう理由は思いつかない。
したがって1着固定の3連単ということになるが、2着以下は何が来てもおかしくないのが気まぐれな3歳少女たちの通例。
予想紙や評論家などの言い分はそれぞれの見解(=判断)にすぎないのだから、自分の「直感」が下りてくるのを心静かに待つ。

しかし、待っているときには「直感」は来ないもので、「直感」をひねり出そうとしている自己矛盾に陥る。

話変わるが、最近、ダンテの「神曲」を読み始めた。
言わずと知れた古典だが西欧世界の文化やキリスト教になじみのないものにとって、この歴史的な名作を深く理解することは難しい、というよりほとんど無理に近い。
しばらく読み続けているといつの間にか意味を取らずに行間だけを目で追ってしまうことになるが、文学作品と割り切って読めば楽しめる。

よって、この「神曲」からの連想で「桜花賞」の買い目を決める。理由は特にない。

三浦逸雄さん訳の「天国編」によると、「四つの圏(地平線・黄道・赤道・二分径圏)が出会って、三つの十字」から太陽が立ち登る「天地創造のとき」とは「4月13日」にあたると書いてある、しかも13ページに。
これでまず「13番アドマイヤビジン」をピックアップ。

次に、ダンテの母国から馬名がイタリア語の馬をピックアップ。「4番ペイシャフェリス」「10番ヌーヴォレコルト」「17番ベルカント」の3頭。

さらにダンテ⇒シュタルケの語感から「2番ニシノミチシルベ」と、ダンテといえば与謝野鉄幹(人を恋うる歌)、鉄幹といえば晶子の連想から「15番ホウライアキコ」も追加。「ミチシルベ」は何となくモーゼを連想させるし。

人気でハーブスターに続く「12番レッドリヴェール」「9番フォーエバーモア」は思い切って軽視。

したがって、「18番ハーブスター」の1着固定で、「2番ニシノミチシルベ」「4番ペイシャフェリス」「10番ヌーヴォレコルト」「13番アドマイヤビジン」「15番ホウライアキコ」「17番ベルカント」の6頭をボックスで買ってみる。

ハーブ以外はみな人気薄なので少し楽しみ。しかし、これは「ワクワク感」なのか?

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