新しいモニターをpaperChartにつなぎたいときは「拡張版」を ― 概要と導入事例(ドレーゲル Vista300)

はじめに

「新しく導入したモニターを、paperChartにつなげられないだろうか」「モニターをバージョンアップしたら、データが取れなくなった」――こうしたご相談は、paperChartを長く運用している施設ほど多くいただきます。

paperChartの最終版が公開されてから年月が経ち、その間にモニター機器のバージョンアップや新機種の発売が進んだことで、オリジナルの設定ファイルやモジュールだけでは対応しきれない場面が増えてきました。

こうした状況を受けて、2026年8月、paperChart.net 管理人の斎藤智彦先生により、新しいモニター用モジュールをあらかじめ同梱した「paperChart 拡張(追加モジュール同梱)版」が公開されました。

今回は、この拡張版で何が変わったのかを簡単にご紹介するとともに、弊社で実際にドレーゲル社のモニター Vista300 を接続した導入事例をお伝えします。

拡張版のポイント:新しいモニターへの対応が「同梱」された

これまでは、新しい機器に対応するたびに、機器ごとのモジュールや設定ファイルを個別に入手・配置する必要がありました。拡張版では、これらがひとまとめになり、初期設定プログラム KickStart(KS.exe)から組み込めるようになっています。

主な変更点は次のとおりです。

項目内容
新規モジュールの同梱新しいモニター用のモジュールと設定ファイルが、あらかじめpaperChartフォルダ内に配置されている
KickStartからの設定KS.exe で使用するモニターを選んで設定を書き込める
既存モニターの設定更新日本光電・フクダ電子・GE Healthcare の設定ファイルを最新機種向けに更新
共通モジュールの刷新共通コンポーネント PpcCtrls.dll を作り直し

拡張版で新たに対応した主なモニター・機器は以下です。

  • フクダ・コーリン Accumil N シリーズ/Accumil V シリーズ(ネットワーク接続)
  • ドレーゲル Vista300(ネットワーク接続)
  • マシモ Root/Radical 7/Sedline(シリアル接続)
  • アムコ社(平和物産)筋弛緩モニター Twitch View(シリアル接続)

あわせて、汎用シリンジポンプモジュール usp.exe も更新され、テルモの新型スマートポンプなどに対応しています。対応機種の詳細は、元記事をご確認ください。

導入前に知っておきたい注意点

拡張版は便利な反面、いくつか見落としやすいポイントがあります。

  • 新しい PpcCtrls.dll は、それ以前のファイルとの互換性がありません。 既存のpaperChart環境に一部のファイルだけを上書きすると、混在によって動作しなくなるおそれがあります。
  • 新規モジュールと設定ファイルは、既存のものと区別するため BIN\extensions\ と CONF\extensions\ に分けて配置されています。設定を修正するときは、フォルダを取り違えないようご注意ください。
  • ネットワーク接続のモジュールは、KickStartだけでは通信設定まで完了しません。IPアドレスやポート番号は、各設定ファイルを直接編集する必要があります。
  • モニターからの接続を受ける方式のモジュールでは、Windowsファイアウォールで該当ポートの通信を許可する必要があります。
  • 既存モニターの設定ファイルが更新されているため、古い機種で不具合が出た場合は、同梱されているオリジナルの設定ファイルに戻すことができます。

具体的な設定手順は、ダウンロードしたフォルダ内の説明書(拡張版について20260809.md)にまとめられています。

導入事例:A医院様でドレーゲル Vista300 を接続

弊社では、A医院様の環境で、拡張版に同梱された Vista300.exe を使ってドレーゲル社のモニター Vista300 をpaperChartに接続しました。

Vista300 は、モニター側からpaperChartが動作するPCへデータを送ってくる方式です。そのため、設定は「モニター側」と「PC側」の両方で行い、ポート番号を一致させる必要があります。

  1. モニター側の設定:送信先として、paperChartが動作するPCのIPアドレスとポート番号を設定します。データ送信間隔は、仕様上の最短である30秒に設定します。
  2. PC側の設定:CONF\extensions\ 内の Vista300.txt を開き、ListenPort の値がモニター側で設定したポート番号と一致しているか確認します。
  3. ファイアウォールの許可:Vista300.exe を初回起動した際にWindowsファイアウォールの警告が表示されたら、通信を許可します。
  4. 単体での通信確認:paperChart本体から起動する前に、Vista300.exe を単独で起動し、データが受信できることを確認します。
  5. paperChartからの起動:通信が確認できたら、paperChartから起動して運用を開始します。

なお、Vista300はデータ送信間隔が最短でも30秒のため、他のモニターと比べるとチャート上のデータの間隔が粗くなります。導入前に、現場の運用上問題がないかを確認しておくと安心です。

また、同じ理由から、「モニタ開始」ボタンを押してから最初のデータがチャートに表示されるまで、最大で30秒ほどかかります。 これは故障ではなく、モニターの送信タイミングを待っている状態です。すぐに表示されなくても、しばらくお待ちください。

まとめ

項目内容
ポイント新しいモニター用モジュールが同梱された「拡張版」が公開され、KickStartから組み込めるようになった
対象ファイルPpcCtrls.dll、BIN\extensions\、CONF\extensions\ 内の各モジュール・設定ファイル
設定・確認方法KickStartでモニターを選択 → 必要に応じて設定ファイルを直接編集 → 単体実行で通信確認 → paperChartから起動
注意点PpcCtrls.dll は旧ファイルと互換性なし。ネットワーク機器は設定ファイルの直接編集とファイアウォール設定が必要

拡張版の入手方法・詳細は、paperChart.net の元記事をご覧ください。

弊社では、拡張版を使った新しいモニターの接続や、既存環境からの移行についてのご相談も承っています。お気軽にお問い合わせください。


本記事はpaperChart(自動麻酔記録ソフトウェア)の設定・運用に関するTips情報です。

この記事を書いた人

サイトウ ナナ
サイトウ ナナ
◆最近の活動◆
・paperChart導入支援サポート
・コワーキングスペース運営
・ダンススクールのウェブ担当
・軍歴調査とレポート作成
・歴史調査とフィールドワーク
・バイブコーディングによるツール作成
・占い