学生時代に読んだことがあるが、最近吉本隆明の「共同幻想論」を読み返してみた。
理由は特に無いが、何となく「今ならもう少し理解できるのでは?」と根拠のなしに思ったのだ。
結果ははかない幻想(吉本さんのいう幻想概念とは無縁の、ただの思い込み)にすぎないことが、最初の数章読んだだけで判明した。
考えてみれば、頭の柔らかいときに理解できなかったものが、50過ぎてわかるわけはない!
「共同幻想論」の中で、しばしば柳田国男の「遠野物語」からさまざまな民話が引用されている。
それらは皆、素朴で心優しい日本人の心を教えてくれる。
そんな中、朝の「目覚ましTV」で「遠野を旅する」という企画が放送されていた。
とうぜん、河童話を始めとする民話も取り上げられていた。
スノッブな小生は、早速書店に「遠野物語」を求めて走った。
もともと「遠野物語」は新潮社から出版されたがすでにこの版は絶版とのこと。
「何だこんな立派な労作が日本の出版会では絶版にされちゃうのか!?」などと日本文化の退廃を店員さんと一緒に嘆き、井上ひさしの「新釈 遠野物語」を買って帰ろうとしたとき、店員さんが大きな声で「お客様、ありました!」と走ってくるではないか。
新潮社版はなくなったけど、集英社文庫で再出版されているとのこと。
集英社版では、何と中沢新一が鑑賞文を書いているではないか。
結局、定本も新釈も両方買って帰りました。
夏になったら、東北復興の視察旅行がてら遠野まで足をのばしてみましょうか?